平素より弊連盟の事業につきまして格段のご配慮を賜り誠にありがとうございます。
2024年12月、アルゼンチン国際親善強化マッチに伴う知的障がい者サッカー日本代表チームのアルゼンチン遠征を実施いたしました。
主催:特定非営利活動法人日本知的障がい者サッカー連盟 技術委員会
目的:2026年Virtus サッカー世界選手権大会に向けた日本代表強化
日程:2024年12月14日(土)〜2024年12月24日(月)
場所:アルゼンチン マル・デル・プラタ ほか
【活動報告レポート】
【試合レポート】
12/18 第1戦 →レポートはこちら
12/20 第2戦 →レポートはこちら
【監督総括】
昨年に引き続き2026年Virtusサッカー世界選手権に向けた強化として2回目のアルゼンチン遠征を実施しました。日本のほぼ真裏にある同国は、季節は夏、時差が−12時間で、日本からアルゼンチン(ブエノスアイレス)まで飛行機で34時間、試合の行われるマル・デル・プラタの町までバスで6時間、日本から現地への総移動時間が40時間と、今回も長い移動を伴う環境下での活動となりました。
現地到着(早朝4時)後、少しの休息をとり、早速ピッチで軽いTRを行いました。午後は、アルゼンチンチーム5人の選手と一緒に合同TRを行いました。
滞在2日目、午後からアルゼンチン代表と親善強化マッチを行いました。前半は、日本がアルゼンチンを終始圧倒し、何度もゴール決定機があるなかで犬塚のゴールにより1-0で折り返しました。後半立ち上がりも日本ペースでしたが、ゴール決定機を逃すと徐々にアルゼンチンに押し込まれる時間が増え、試合終了間際のPKを含む2失点で敗戦しました。
滞在3日目、午前は、前日試合のフル出場選手はリカバリー、そのほかの選手はTRを行いました。午後は、地元健常者チームとの調整マッチを行い、スピードとプレーの質が高い相手に対し、日本はミスやセットプレーで前半に4失点しました。後半は、システムを変更し、前日試合時間の少なかった選手が2得点をあげる活躍により2-0、ゲーム内で課題の修正ができたこと、アルゼンチンとの2戦目に向けてシステム変更の可否と選手起用の確認ができたことは成果でした。
滞在4日目、トレーニングと休息。
滞在5日目、強風下でのアルゼンチンとの2戦目でした。立ち上がりは互角の戦いで、アルゼンチンFWにボールは入るものの最終ラインの結城、草田、吉川の落ち着いた対応、ボランチの横井、武田のプレスバックによるボール奪取が機能しアルゼンチンFWを自由にさせませんでした。良い守備から良い攻撃へのテンポもよく、1トップの犬塚、トップ下の下鶴、大久保の突破力とコンビネーションによる崩し、また、佐藤、大野のサイドからの崩しで何度もアルゼンチンゴールを脅かしました。DF背後への浮き球の対応が悪く2失点しましたが、セットプレー、交代選手の活躍とシステム変更により2得点するなど、粘り強い戦いができていました。1戦目同様終了間際のアルゼンチンの猛攻に粘り強く対応している中で、PK判定による失点で敗戦となり、90分を通して得点機を多く逸したこと(決定力不足)は課題として次に繋げたいと思います。また、国際試合で初めてスタメンに起用されたGK荻野は、落ち着いて試合に入り、ミスは少なからずあるものの正確なキャッチングやセービングによりチームに大きく貢献しました。最終ラインとの連携、プレスキックは、日常における試合実戦とトレーニングの積み重ねにより自信をつけて欲しいです。途中出場で通算3ゴール(調整マッチ含)得点した梅村は、ゴールに向かう姿勢を自分の武器としてさらなる成長を期待します。福原・原・小川・小才は今遠征での経験を踏まえ、さらに自分の強みを磨き成長することを望みます。
今遠征でのトピックとして、日本からお米を40kg現地に持ち込み、毎食時に食しました。また、アルゼンチンチーム選手スタッフと同じ宿舎、合同トレーニングにより交流が図られました。最終日のオフザピッチプログラムでは、アルゼンチンのサッカー文化に触れることができました。
前回も述べましたが、「世界を日常に。」を掲げる日本代表チームは、海外遠征を重ねるごとに、逞しさ、海外選手相手に怯まないメンタルとパフォーマンス発揮の積み重ねができています。そして世界トップクラスの国と直接対戦し体感できる「世界トップのプレー強度」は、日本代表のプレーに根付いています。
その成果として、国際試合において、攻撃、守備において落ち着いてプレーし、選手一人一人の持つ力を発揮できています。また、ゲーム中のフォーメーション変更への対応力、試合で求められるプレーの理解と実行する力など、選手のレベルは格段にアップしています。このことは、選手の日常におけるサッカー活動に日々ご尽力くださっている地域技術委員、指導者、支援者の皆様のおかげです。今後、日本が世界トップに立つために、「世界トップのプレー強度」のある日常が、日本全体で広がることが不可欠です。そのために、まずは各地域でのリーグ戦等において勝負に拘りを持ち、拮抗したゲームの実現、そのためにさらなるプレー(判断を伴い発揮するテクニック・個人戦術・グループ戦術)の質向上が必要です。引き続きお願いいたします。
最後に、選手を送り出していただいたチーム、学校、企業、及び選手を日頃からサポートしてくださっている皆様方におかれましては、代表チームの活動にご理解とご協力をしていただき誠にありがとうございました。2026年のVirtusサッカー世界選手権で過去最高の成績をあげられるよう、さらなる強化を進めてまいります。
引き続きよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
スタッフ
監 督 : 西 眞一
コーチ : 泉谷 光紀
コーチ : 竹中 康雄
GKコーチ: 岡田 裕樹
トレーナー: 澤野 啓祐
コーチ/マネージャー: 古薗 功詞郎
選手
荻野 泰幸 (千 葉)
草田 佑介 (広 島)
吉川 圭祐 (東 京)
結城 隆 (東 京)
横井 知明 (東 京)
福原 碧人 (鹿児島)
武田 稜久 (大 阪)
大野 航 (兵 庫)
下鶴 掛夢 (鹿児島)
原 勇人 (東 京)
佐藤 快 (東 京)
犬塚 陸 (愛 知)
梅村 俊佑 (神奈川)
大久保 史弥 (栃 木)
小川 駿 (東 京)
小才 天太 (鹿児島)
なお、今回の強化遠征は日本スポーツ振興センター「競技力向上事業」の補助金を一部利用して実施されました。