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2023年12月、アルゼンチン国際マッチに伴う知的障がい者サッカー日本代表チームのアルゼンチン遠征を実施いたしました。
主催:特定非営利活動法人日本知的障がい者サッカー連盟 技術委員会
目的:Virtus サッカー世界選手権大会に向けた日本代表強化
日程:2023年12月16日(土)〜2023年12月25日(月)
場所:アルゼンチン マル・デル・プラタ ほか
【活動報告レポート】
【試合レポート】
12/20 第1戦 →レポートはこちら
12/22 第2戦 →レポートはこちら
【監督総括】
2026年VIRTUSサッカー世界選手権に向けた強化としてアルゼンチン遠征を実施しました。日本 のほぼ真裏にある同国は、季節は夏、時差が-12時間で、日本からアルゼンチン(ブエノスアイレス)まで飛 行機で36時間、そこから試合の行われるマル・デル・プラタの町までバスで6時間、日本から現地への移動時 間が42時間というおそらく一番遠い遠征先であったと思います。
試合は2試合とも、「全員守備・全員攻撃」のゲームコンセプトのもと、1対1のバトルに勝つこと、意図的に ボールを奪う良い守備から、サイドを起点にした攻撃で得点を目指しました。第1戦において、アルゼンチン代表 は、南米独特のリズムと、高い個人技術・スピードを兼ね備えた2人のFWに縦パスを鋭く入れる緩急のある攻 撃が特徴でした。日本は、開始早々アルゼンチン選手のスピードについていけないシーンがありましたが、時間の 経過とともにスピードに慣れ、良いポジションを取れるようになりました。そこから、素早いアプローチによるインターセ プトと速い切り替えから、アルゼンチンDFの背後へのアクションとサイドを起点とした攻撃を組み合わせ、クロスに よる決定的シーンをつくりましたがゴールの枠を捉えられることはできませんでした。前半終了間際に、アルゼンチン のクロスボールをGKがファンブルし落球したところを押し込まれて失点。後半は、日本がボールを保持して優位 に進めましたがゴールを決めることができずに、鋭いカウンターで失点を重ね敗戦しました。
第2戦は、前半開始早々、前線から積極的にボールを奪いに行き、高い位置でボールを奪いショートカウンタ ーでチャンスをつくりましたが、第1戦同様に決定力がありませんでした。試合序盤は日本ペースで進みましたが、 アルゼンチンの鋭いカウンターにより徐々に日本ゴールを脅かされるようになりました。日本は前線・中盤・自陣 (ゴール前)の3つのゾーンで意図的な守備組織により対応するなか、アルゼンチンはボールホルダーにプレスが かからない時は、どこからでもFWへの縦パス狙い、日本はその対応を迫られました。ボールが入ったアルゼンチン FWは迷いなくゴールに向かってきましたが、日本の最終ラインとGK徳村はある程度落ち着いて対応できてい たかと思います。そのような粘り強く守備をしていた時間帯に、アルゼンチンの右奥からの速いクロスをヘディングで 合わされ失点しました。ハーフタイムに守備と攻撃の狙いを整理して後半に臨みましたが、開始早々に低いクロス の対応を誤り失点。その後は一進一退の拮抗した内容でしたがそのまま試合終了となりました。
成果は、2試合を通してアタッキングサード付近まで連携して意図的にボールを運べたシーンが何度かあったこ と、隙をつかれ失点したものの「狙いを持った守備」ができていたことです。また、⾧時間の移動、時差、食事、言 語、日本の冬からアルゼンチンの夏の季節の違いなど日常と違う環境下、到着後3日目と5日目での試合とい う過酷な状況で、2018年世界選手権第2位のアルゼンチン相手に敗戦したものの、課題抽出と手応えの ある内容であったことは自信を持って次に向かって良いと思います。
課題は、プレー強度があるなかでの、テクニックの質(決定力)、サポートの質、守備の個人戦術(ボールと マークの同一視、ボールを奪うテクニック)、クロス対応、速い切替えです。また、初めての海外遠征となる選手 は、食事の面において課題が見受けられました。国内での日々の生活において、例えば、3食摂っていない、量 が少ない、食に偏りがあり好き嫌いがあるなどのことから、海外での食事を摂ることができない選手がいました。良 い選手であっても、食事を充分に摂れないと良いパフォーマンス発揮は困難です。チームとして、選手の最大パフ ォーマンスの発揮ができるように食事について改善を図りたいと思います。
「世界を日常に。」を掲げる日本代表チームは、海外遠征を重ねるごとに、逞しさ、世界相手に怯まないメンタルとパフォーマンス発揮の積み重ねができています。そして世界トップクラスの国と直接対戦し体感できる「世界トップのプレー強度」。今後、日本が更に上を目指すには、「世界トップのプレー強度」のある日常が、日本国内で広がることが必要と感じます。そのために、まずは各地域でのリーグ戦等において勝負に拘りを持ち、拮抗したゲームの実現、そのためにプレーの質向上が不可欠、と繋げられていくことを期待します。
最後に、選手を送り出していただいたチーム、学校、企業、及び選手を日頃からサポートしてくださっている皆様方におかれましては、代表チームの活動にご理解とご協力をしていただき誠にありがとうございました。皆様と共に課題解決に取り組み、2030年のVIRTUSサッカー世界選手権で日本が世界トップに立てるよう更なる強化を進めてまいります。引き続きよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
スタッフ
監 督 : 西 眞一
コーチ : 泉谷 光紀
コーチ : 竹中 康雄
GKコーチ: 岡田 裕樹
トレーナー: 澤野 啓祐
コーチ/マネージャー: 古薗 功詞郎
選手
徳村 雄登 (京 都)
荻野 泰幸 (千 葉)
草田 佑介 (広 島)
髙木 翔 (栃 木)
大野 航 (兵 庫)
清水 大介 (埼 玉)
吉川 圭祐 (東 京)
横井 知明 (東 京)
福原 碧人 (鹿児島)
武田 稜久 (大 阪)
下鶴 掛夢 (鹿児島)
今井 勇人 (東 京)
松野 隆弥 (熊 本)
佐藤 快 (東 京)
犬塚 陸 (愛 知)
奥田 浩輔 (福 岡)
梅村 俊佑 (神奈川)
なお、今回の強化遠征は日本スポーツ振興センター「競技力向上事業」の補助金を一部利用して実施されました。